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freee(4478)銘柄分析|黒字化とARR成長で見直されるクラウドERP企業

freeeは、スモールビジネス向けのクラウド会計から始まり、現在は会計・人事労務・販売管理・支出管理・在庫管理・AIまで広げるクラウドERP企業です。この記事では、株価、業績、ARR、顧客数、ARPU、黒字化の進み方、競合比較、リスクまでを初心者にも分かるように整理します。

目次

株価パフォーマンス比較

freeeと日経225の長期パフォーマンス

上場来のパフォーマンス(2019年12月17日→2026年5月14日/もし100万円投資した場合)

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投資対象開始値直近値騰落率100万円投資していた場合
freee2,700円2,151円-20.3%約80万円
日経22524,066.1円62,654.1円+160.3%約260万円
注:株価は調整後終値ベース。日経225は同日または直近営業日の値を使用。騰落率は「直近値 ÷ 開始値 – 1」で算出。

直近5年のパフォーマンス(2021年5月14日→2026年5月14日/もし100万円投資した場合)

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投資対象5年前の値直近値騰落率100万円投資していた場合
freee7,470円2,151円-71.2%約29万円
日経22528,084.5円62,654.1円+123.1%約223万円
注:株価は調整後終値ベース。5年前基準日はデータがそろう直近営業日に調整。

株価パフォーマンスのポイント解説

freeeの株価は、上場後のグロース株ブームでは大きく評価されましたが、直近5年では日経225を大きく下回っています。これは、事業が伸びていないからではなく、赤字SaaS銘柄に対する市場の評価が大きく変わったためです。売上高、ARR、有料課金ユーザー数は伸びていますが、投資家は「いつ安定して黒字化するのか」「高いPBRを正当化できる利益率になるのか」を見ています。2025年6月期に営業黒字化し、2026年6月期も調整後営業利益の黒字予想を出しているため、ここからはARR成長と利益率改善が同時に続くかが株価の中心テーマになります。

歴史と成り立ち

freeeの歴史
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年月時価総額出来事
2012年7月フリー株式会社を設立。
2013年3月「クラウド会計ソフトfreee(現 freee会計)」をリリース。
2014年10月「クラウド給与計算ソフトfreee(現 freee人事労務)」をリリース。
2019年12月約1,215億円東京証券取引所マザーズ市場へ上場。
2021年3月約3,665億円ARR100億円を達成。クラウドERP企業としての評価が高まる。
2021年4月約4,436億円海外公募増資を実施。成長投資のための資金を確保。
2025年6月約1,920億円2025年6月期に営業黒字化。ARR343.9億円、有料課金ユーザー60万件超。
2026年3月約1,373億円ロジクラを子会社化し、在庫管理から会計までの統合体験を強化。
2026年5月約1,302億円2026年6月期3QでPlatform ARR424.8億円、調整後営業利益18.0億円。
注:時価総額は該当月の終値または月末終値と当時の株式数からの概算。上場前は「—」としています。

freeeは、クラウド会計ソフトから始まり、給与、人事労務、申告、販売管理、支出管理、カード、在庫管理まで広げてきました。特徴は、単なる会計ソフトではなく、スモールビジネスのバックオフィスを一体化する「統合型クラウドERP」を目指している点です。2026年にはロジクラを子会社化し、小売・流通業向けの在庫管理まで取り込もうとしています。会計だけでなく、受発注、請求、支払、在庫、労務、AI支援までつなげるほど、顧客単価と解約されにくさが上がりやすくなります。

業績推移

freeeの業績推移
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決算期決算日終値時価総額売上規模営業利益率PERPBREPS
2020/064,885円2,440.0億円69.0億円-38.8%算出不可17.6倍-66.18円
2021/0610,210円5,633.6億円103.0億円-23.7%算出不可12.0倍-54.88円
2022/063,280円1,875.2億円144.0億円-21.1%算出不可5.2倍-208.22円
2023/063,255円1,983.8億円192.0億円-41.2%算出不可7.3倍-215.64円
2024/062,422円1,437.3億円254.0億円-33.0%算出不可8.5倍-174.43円
2025/063,845円2,296.6億円333.0億円1.8%165.2倍11.7倍23.28円
直近 2026年5月14日2,151円1,302.0億円419.3億円予想調整後6.0%予想92.4倍6.3倍23.28円(実績)
注:株価は調整後終値ベース。直近行は2026年6月期会社予想、2026年5月14日終値、直近実績EPSを併用。会社予想は調整後営業利益ベース。

主な出典: 2026年6月期 第3四半期決算短信2026年6月期 第3四半期決算説明資料2026年6月期 業績予想の修正に関するお知らせYahoo!ファイナンス 株価時系列

業績推移のポイント

売上高は2018年6月期の24.1億円から2025年6月期の333億円まで拡大しました。長く営業赤字が続いていましたが、2025年6月期に営業利益6.1億円、親会社株主に帰属する当期純利益13.7億円となり、黒字化しました。2026年6月期3Q累計では売上高308.4億円、営業利益6.2億円、調整後営業利益18.0億円を確保しています。通期会社予想は売上高419.3億円、調整後営業利益25.2億円です。重要なのは、売上成長だけではなく、販売・開発投資を続けながら利益を残せる体質に移れるかです。黒字化が一過性ではなく、ARR成長とセットで続くなら、株価の見方は変わりやすくなります。

セグメント別の売上げ詳細

freeeのARR構成
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セグメント売上高構成比セグメント利益利益率内容
法人セグメント327.4億円77.1%記載なし記載なし法人向けクラウドERP。ARR・ARPUの伸びが最重要。
個人事業主セグメント97.4億円22.9%記載なし記載なし確定申告・会計を中心とする個人事業主向け。繁忙期の獲得が強い。
サブスクリプションARR403.6億円95.0%記載なし記載なし継続課金の中心。売上の安定性を見る指標。
トランザクションARR21.2億円5.0%記載なし記載なし決済・カードなど取引量に連動する収益。今後の拡張余地。
プラットフォーム事業308.4億円100.0%18.0億円5.8%2026年6月期3Q累計売上高と調整後営業利益。
連結合計308.4億円100.0%6.2億円2.0%2026年6月期3Q累計の連結売上高・営業利益。
注:freeeは単一セグメント開示のため、法人・個人事業主は会社が開示するPlatform ARRを億円換算して記載。プラットフォーム事業と連結合計は2026年6月期3Q累計売上高。

セグメント別の売上げ詳細のポイント

freeeは単一セグメント開示ですが、実際に見るべき分解軸は法人と個人事業主です。2026年6月期3Q末のPlatform ARRは424.8億円で、そのうち法人ARRが327.4億円、個人事業主ARRが97.4億円です。法人ARRは全体の約77%を占め、前年比26.8%増と高い伸びです。個人事業主も確定申告期に強く、AIやオペレーターによる入力・仕訳作業の支援で獲得余地があります。ただし、長期的な単価上昇の柱は法人です。法人向けに会計、人事労務、販売管理、支出管理、在庫管理、AIエージェントを組み合わせるほど、ARPUが上がりやすくなります。

重要指標・成長ドライバー

freeeのARRとKPI
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項目数値前年比読み方
Platform ARR424.8億円+23.2%継続的に得られる収益を年換算した最重要KPI
法人ARR327.4億円+26.8%ARR全体の約77%。単価上昇の中心
個人事業主ARR97.4億円+12.5%確定申告期の獲得が強い領域
有料課金ユーザー企業数712,265件+13.6%個人事業主を含む有料ユーザー数
ARPU59,647円+8.5%顧客単価。法人ARPUは123,976円
調整後営業利益18.0億円-15.0%2026年6月期3Q累計。黒字を維持
注:2026年6月期第3四半期決算短信・決算説明資料・決算補足資料ベース。

重要指標のポイント

freeeで一番重要なのは、Platform ARR、有料課金ユーザー企業数、ARPUです。2026年6月期3Q末のPlatform ARRは424.8億円、前年比23.2%増です。有料課金ユーザー企業数は71.2万件、ARPUは59,647円です。ユーザー数が13.6%伸び、ARPUも8.5%伸びているため、顧客基盤の拡大と単価上昇が両方進んでいます。特に法人ARPUは123,976円で、個人事業主ARPUの21,736円と比べて大きいです。今後は、法人顧客に複数プロダクトを導入してもらい、会計だけでなく販売・支出・労務・在庫・AIまで使ってもらえるかが成長の質を決めます。

キャッシュフロー・財務体質

freeeのキャッシュフロー
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決算期営業CF投資CF財務CFフリーCF現金等
2019/06-17.3億円-5.4億円64.8億円-22.7億円58.5億円
2020/06-13.8億円-13.1億円120.0億円-26.9億円151.0億円
2021/06-1.9億円-31.8億円354.0億円-33.7億円471.0億円
2022/06-10.7億円-44.8億円4.5億円-55.5億円420.0億円
2023/06-47.5億円-19.4億円5.4億円-66.9億円359.0億円
2024/06-67.7億円-10.9億円37.1億円-78.6億円318.0億円
2025/0636.6億円-46.0億円49.8億円-9.4億円358.0億円
注:IRBank掲載のキャッシュフロー推移を億円換算。M&A・投資・資金調達の影響で年度ごとの振れがあります。

freeeは長く成長投資を優先してきたため、営業CFやフリーCFは赤字が続いていました。ただし、2025年6月期には営業CFが36.6億円のプラスに転じました。これは黒字化と収益性改善の重要なサインです。一方で、M&Aやプロダクト投資があるため、フリーCFはまだマイナスです。会社は2026年6月期の調整後フリー・キャッシュ・フローを12.6〜25.2億円と予想しており、ここが達成できるかはかなり大事です。SaaS企業はPL上の利益だけでなく、ARRから実際に現金が残る構造になるかを見る必要があります。

同業他社・類似企業

freeeの同業比較
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項目freeeマネーフォワードSansanサイボウズ弁護士ドットコム
証券コード44783994444347766027
時価総額1,302.0億円2,457.8億円1,658.3億円1,262.0億円619.7億円
売上規模419.3億円予想534.0〜575.5億円予想535.7億円予想422.0億円予想205.0億円予想
営業利益率調整後6.0%予想-4.7〜0.9%予想15.0%予想24.9%予想14.6%予想
PER92.4倍(実績)赤字予想389.3倍14.9倍31.0倍
PBR6.3倍5.9倍9.2倍6.3倍8.7倍
ROE7.0%3.9%2.8%42.5%28.1%
注:時価総額・PER・PBRは取得時点の株価ベース。売上規模・営業利益率は会社予想または直近実績ベース。取得日:2026年5月18日。

強み

freeeの強みは、スモールビジネス向けのブランド力と、会計を起点にした統合型クラウドERPの広がりです。会計、申告、人事労務、販売管理、支出管理、カード、在庫管理まで広げることで、顧客の業務フローに深く入り込めます。2026年6月期3Q末のPlatform ARRは424.8億円、有料課金ユーザー企業数は71.2万件と、国内SaaS企業の中でも規模感があります。さらに法人ARRが前年比26.8%増と伸びており、単価の高い法人向けが全体を引っ張っています。2025年6月期に営業黒字化したことで、単なる赤字成長株ではなく、利益も出せるSaaS企業として見直される余地があります。

弱み

弱みは、株価が高い成長期待を織り込みやすい一方、利益水準はまだ小さいことです。2025年6月期に営業黒字化したとはいえ、営業利益率は1.8%で、まだ安定高収益という段階ではありません。2026年6月期の会社予想も調整後営業利益ベースで25.2億円であり、通常の営業利益・EPSの伸びは今後の確認が必要です。競合にはマネーフォワード、弁護士ドットコム、サイボウズ、Sansan、さらに既存ERP・会計ソフト会社もいます。顧客獲得費、開発費、M&A統合、AI投資が重くなれば、利益改善が遅れる可能性があります。株価は上場来の高値から大きく下がっていますが、割安というより「再成長と利益化を試されている」銘柄です。

株価の上昇余地はあるか?(アップサイド・カタリスト)

freeeのアップサイド・カタリスト

上昇余地の中心は、ARR成長と黒字化の両立です。2026年6月期3Q末のPlatform ARRは424.8億円、法人ARRは327.4億円まで拡大しました。通期売上高予想は419.3億円、調整後営業利益予想は25.2億円です。ここから、法人ARPUの上昇、AIエージェントの実装、ロジクラ子会社化による在庫管理領域の拡大、支出管理・販売管理・カード領域のクロスセルが進めば、ARR成長の質がさらに良くなります。SaaS企業は、売上が伸びるだけでは株価が上がりにくい局面に入っています。freeeの場合、ARR成長率20%超を維持しながら調整後営業利益率とFCFが改善することが、再評価の条件になります。

株価下落余地はあるか?(ダウンサイドリスク)

freeeのダウンサイドリスク

下落リスクは、黒字化の持続性とバリュエーションです。freeeは2025年6月期に黒字化しましたが、営業利益率はまだ低く、成長投資を続けながら利益率を上げる必要があります。ARR成長率が鈍化したり、法人ARPUの上昇が止まったり、AIやM&A投資の費用が重くなったりすると、利益改善シナリオが崩れます。また、会計・労務・販売管理は競争が激しく、マネーフォワードや既存ERP、会計事務所向けサービスとの競争もあります。PBRは高めで、実績PERも高く見えるため、グロース株全体が売られる局面では株価が下がりやすいです。投資判断では、ARR、調整後営業利益、FCFの3つをセットで見る必要があります。

業界全体のモメンタム

freeeの業界モメンタム

freeeが属するクラウド会計・クラウドERP市場は、電子帳簿保存法、インボイス制度、人手不足、会計事務所の業務効率化、AI活用が追い風です。中小企業や個人事業主は、紙・Excel・手作業からクラウド化する余地がまだあります。さらに、AIが入力、仕訳、税務相談、請求書処理、在庫連携を支援することで、ソフトの価値は単なる記録から「業務を終わらせる」方向に変わっています。freeeのチャンスは、会計だけでなく、販売、請求、支払、労務、在庫、AIエージェントを一体化できることです。一方で、競争は単品ソフトではなく、総合プラットフォーム同士の戦いになります。

株価に大きな影響を与えたニュース

freeeのニュース年表

株価に影響した出来事としては、2019年の上場、2021年のARR100億円達成と海外公募増資、2025年6月期の営業黒字化、2026年2月の業績予想修正、2026年3月のロジクラ子会社化、2026年5月の第3四半期決算が重要です。2026年2月の修正では、通期売上高予想を419.3億円、調整後営業利益予想を25.2億円に引き上げました。2026年5月の3Q決算では、Platform ARRが424.8億円、法人ARRが327.4億円、3Q累計売上高が308.4億円となりました。今後のニュースで特に重要なのは、通期予想達成、AI関連プロダクトの利用拡大、M&A後の統合、FCF改善です。

社長の経歴

代表取締役CEOは佐々木大輔氏です。公式会社概要によると、佐々木氏はGoogleで日本およびアジア・パシフィック地域での中小企業向けマーケティングチームを統括した後、2012年7月にフリー株式会社を設立しました。Google以前は博報堂、CLSAキャピタルパートナーズ、ALBERTでの経験があります。freeeの経営の特徴は、「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションのもと、会計ソフトを単体で売るのではなく、起業、会計、申告、労務、販売、支出、在庫まで一気通貫で支えるプラットフォームを作ろうとしている点です。創業者CEOであり、株主としても大きな持分を持つため、長期のプロダクト戦略と企業文化を維持しやすい会社です。

株主構成

freeeの株主構成
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株主名持株比率
佐々木 大輔18.6%
MSIP CLIENT SECURITIES9.9%
MSCO CUSTOMER SECURITIES8.4%
GOLDMAN SACHS & CO. REG7.8%
Kora Management LP7.4%
THE BANK OF NEW YORK MELLON 1400513.0%
株式会社リクルート2.8%
横路 隆2.5%
注:2025年6月期有価証券報告書ベース。比率は小数2桁表示。

株主構成を見ると、佐々木大輔氏が18.56%を保有する筆頭株主です。上位にはMSIP、MSCO、GOLDMAN SACHS、Kora Managementなど海外系・機関投資家系の名義が並びます。創業者の持分が大きい点は、長期のプロダクト投資やミッション重視の経営にはプラスです。一方で、海外投資家が多いグロース株は、金利や市場全体のリスク許容度に左右されやすい面もあります。短期的には決算KPIと需給、長期的にはARR成長と利益率改善が株主評価の中心になります。

IR情報ダウンロードリンク集

この記事で使用した会社公式IR資料をまとめています。決算短信、決算説明資料、補足資料など、分析に使った資料へすぐアクセスできます。

決算短信・決算説明資料

中期経営計画・その他資料

※リンク先はfreee公式IRページおよび公式PDFです。資料名・掲載URLは変更される場合があります。

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